夏休みの小学生の生活リズムを整えるには?親子で無理なく続ける7つの工夫

夏休みに入ると、学校がある日とは生活が大きく変わります。

「朝、何度起こしても起きない」
「夜になってもゲームや動画をやめられない」
「宿題を始める時間がどんどん遅くなっている」

このような様子を見て、「夏休みが始まったばかりなのに、もう生活リズムが崩れてしまった」と焦っている保護者もいるのではないでしょうか。

しかし、夏休みに生活リズムが崩れることは、決して珍しいことではありません。

大切なのは、学校がある日とまったく同じ生活を再現することではなく、子どもと家族が無理なく続けられるリズムをつくることです。

今回は、療育の視点も交えながら、小学生の生活リズムを親子で無理なく整える方法をご紹介します。

夏休みに小学生の生活リズムが崩れるのはなぜ?

夏休みに生活リズムが崩れる背景には、子どものやる気だけでは解決しにくい理由があります。

まずは、生活が乱れているように見える理由を考えてみましょう。

学校が休みになり、一日の目印が減るから

学校がある日は、

  • 決まった時間に起きる
  • 登校する
  • 授業を受ける
  • 給食を食べる
  • 下校する

というように、一日の流れがある程度決まっています。

一方、夏休みは学校という大きな予定がなくなり、起床、食事、宿題、遊びなどを家庭の中で組み立てなければなりません。

大人にとっては「自由に過ごせる期間」でも、子どもにとっては「次に何をすればよいのか分かりにくい期間」になることがあります。

特に、予定を立てることや時間を意識して行動することが苦手な子は、生活の見通しを持ちにくくなります。

ゲームや動画を終えるきっかけが少ないから

ゲームや動画は、子どもが夢中になりやすく、自然な終わりが分かりにくい活動です。

学校がある日は、「明日の準備をする」「寝る時間だから終わる」といった区切りがあります。しかし、翌朝の予定が少ない夏休みは、「もう少しだけ」が続きやすくなります。

ゲームや動画をやめられない様子を見ると、保護者は「約束を守れない」「自分に甘い」と感じるかもしれません。

しかし、子どもによっては、約束を守る意思の問題ではなく、楽しい活動から次の活動へ気持ちを切り替えること自体に難しさがあります。

暑さで外遊びや運動が減るから

夏は気温が高く、熱中症への注意も必要です。そのため、外遊びや運動の機会が少なくなりやすい季節です。

家の中で過ごす時間が長くなると、日中の活動量が減り、夜になっても眠気を感じにくくなることがあります。

朝の光は体内時計を調整する重要な手がかりです。朝に明るい光を浴びる時間が遅くなると、眠くなる時間や起きる時間も後ろにずれやすくなります。

旅行や帰省など、普段と違う予定が増えるから

夏休みには、旅行、帰省、地域の行事、家族でのお出かけなど、普段とは異なる予定が増えます。

特別な経験は子どもにとって大切ですが、就寝時間や食事時間が変われば、一時的に生活リズムが乱れるのは自然なことです。

旅行の翌日に朝寝坊をしたからといって、これまで積み重ねてきた習慣がすべてなくなるわけではありません。

特別な日は楽しみ、翌日以降に少しずつ戻すという考え方で大丈夫です。

生活リズムが崩れたときに見られやすいサイン

生活リズムの乱れは、朝寝坊や夜更かしだけに表れるとは限りません。

次のような様子が増えていないか確認してみましょう。

  • 朝、何度起こしても起きられない
  • 起きても着替えや朝食に時間がかかる
  • 午前中をだらだらと過ごしている
  • 宿題をなかなか始められない
  • 昼間に眠くなり、夕方から元気になる
  • ゲームや動画を終えるときに怒る
  • 些細なことでイライラする
  • 食事や排せつの時間が不規則になる

このような様子が見られても、すぐに「怠けている」「わがままになった」と決めつける必要はありません。

睡眠不足や見通しの持ちにくさによって、気持ちの切り替えや行動の開始が難しくなっている可能性があります。

全部直そうとしなくて大丈夫。まず整えたい3つの目印

生活リズムが崩れると、保護者は、

「早く起こさなければ」
「宿題もさせなければ」
「ゲームの時間も減らさなければ」
「夜も早く寝かせなければ」

と、すべてを一度に変えようとしがちです。

しかし、たくさんのルールを急に増やすと、子どもも保護者も疲れてしまいます。

まずは、一日の中に次の3つの目印をつくってみましょう。

1.起きる時間

生活リズムを整えたいときは、寝る時間だけでなく、朝起きる時間を意識することが大切です。

夜更かしをした翌朝に遅くまで寝ると、その日の夜も眠くなる時間が遅くなり、夜更かしが続きやすくなります。

最初から学校がある日と同じ時間に起こす必要はありません。

例えば、普段7時に起きている子が夏休みに10時まで寝ている場合は、まず9時に起きることから始めます。

慣れてきたら8時30分、8時というように、15~30分ずつ調整していきましょう。

2.朝食の時間

起きた後に朝食をとることで、子どもは「一日が始まった」と感じやすくなります。

朝から十分な量を食べられない場合もあるでしょう。

そのようなときは、最初から理想的な朝食を目指すのではなく、おにぎり、パン、バナナ、ヨーグルトなど、子どもが口にしやすいものから始めても構いません。

3.夜の活動を終える時間

「何時に眠るか」だけでなく、ゲームや動画など、気持ちが高ぶりやすい活動を終える時間を決めます。

例えば、21時に寝る予定であれば、

  • 20時にゲームや動画を終える
  • 20時10分に入浴する
  • 20時40分に歯みがきをする
  • 21時に寝室へ行く

というように、寝る前の流れを決めておきます。

同じ順番を繰り返すことで、子どもが「次は寝る時間だ」と見通しを持ちやすくなります。

親子で生活リズムを整える7つの方法

ここからは、家庭で取り入れやすい具体的な方法をご紹介します。

すべてを行う必要はありません。子どもや家庭の状況に合いそうなものを一つ選んで始めてみましょう。

1.最初は起きる時間だけを決める

生活リズムを整えるために、まずは起床時間を大きくずらさないようにします。

ただし、毎日まったく同じ時刻でなくても構いません。

「7時30分から8時の間に起きる」というように、30分程度の幅を持たせると、家族も続けやすくなります。

小学生に必要な睡眠時間には個人差がありますが、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9~12時間を参考に睡眠時間を確保することが勧められています。

起床時間だけを早めて睡眠不足にならないよう、必要な睡眠時間も考えながら調整しましょう。

2.起きたらカーテンを開ける

朝起きたら、まずカーテンを開けて部屋を明るくします。

朝の光を浴びることは、体内時計を整える手がかりになります。

すぐに外へ出る必要はありません。

窓の近くで朝食を食べる、着替えた後にベランダや玄関先へ出るなど、家庭で無理なくできる方法を取り入れてみましょう。

ただし、夏は気温が高くなります。屋外で活動する場合は、時間帯や気温を確認し、熱中症に十分注意してください。

3.午前中に一つだけ予定を入れる

夏休みだからといって、学校の時間割のように一日を細かく決める必要はありません。

まずは午前中に一つだけ、取り組むことを決めてみましょう。

例えば、

  • 算数プリントを1枚する
  • 本を10分読む
  • 洗濯物を一緒にたたむ
  • 近所を短時間散歩する
  • ラジオ体操をする

などです。

「午前中に何か一つできた」という経験が、一日の流れをつくるきっかけになります。

宿題は「全部終わらせる」ではなく、「ドリルを机に出す」「問題を1問解く」という小さな目標から始めても構いません。

4.一日の予定を見えるようにする

「今日は何をするの?」と何度も尋ねる子や、次の行動に移ることが苦手な子には、予定を見える形にする方法が有効です。

例えば、紙やホワイトボードに、

  1. 朝ごはん
  2. 着替え
  3. 宿題
  4. 自由時間
  5. 昼ごはん

と書いておきます。

一日分の予定を見ると負担を感じる子には、「いま」と「次」だけを提示します。

「いま:ゲーム」
「次:昼ごはん」

というように示すと、次の活動を理解しやすくなります。

予定表は、子どもを管理するためのものではありません。

保護者が何度も注意しなくても、子ども自身が次の行動を確認できるようにするための道具です。

5.ゲームや動画は始める前に終わり方を決める

ゲームを始めた後に突然「もう終わり」と言われると、子どもは気持ちを切り替えにくくなります。

始める前に、終了の条件を一緒に確認しましょう。

  • 30分たったら終わる
  • 動画を2本見たら終わる
  • このステージが終わったらやめる
  • タイマーが鳴ったらセーブする

時間の感覚がつかみにくい子には、「30分」よりも「動画を2本」「ステージを1回」と伝えた方が分かりやすい場合があります。

また、終了の5分前や10分前に予告することも大切です。

「あと5分で終わりだよ」だけでなく、

「あと5分でゲームを終えて、その後はお昼ごはんだよ」

と、次の活動まで伝えると見通しを持ちやすくなります。

ゲームや動画との付き合い方は、単に利用時間を短くするだけではなく、始める前の約束や終わるときの見通しをつくることが大切です。

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6.寝る前の行動を毎日同じ順番にする

寝る前のルーティンを決めておくと、子どもが眠る準備へ移りやすくなります。

例えば、

  1. ゲームや動画を終える
  2. 入浴する
  3. 水分をとる
  4. 歯を磨く
  5. 明日の予定を確認する
  6. 寝室へ行く

という流れです。

大切なのは、細かい時刻を守ることよりも、行動の順番をなるべく同じにすることです。

「早く寝なさい」と繰り返すよりも、「次は歯みがきだね」と、次の行動を一つずつ伝えましょう。

7.できた行動を具体的に認める

生活リズムを整えるときは、できなかったことばかりに注目しないことが大切です。

「今日は早くできたね」という漠然とした褒め方よりも、

「タイマーが鳴ったらゲームを終えられたね」
「予定表を見て、自分で着替えられたね」
「昨日より15分早く起きられたね」

と、できた行動を具体的に伝えます。

子どもが何をすればよいか理解しやすくなり、次の行動にもつながります。

低学年と高学年では整え方を変えよう

同じ小学生でも、学年や発達段階によって、分かりやすい伝え方は異なります。

小学校低学年は「時間」より「順番」を伝える

低学年の子どもに、「9時までに全部準備して」と伝えても、何から始めればよいのか分からないことがあります。

そのような場合は、

  1. トイレに行く
  2. 着替える
  3. 朝ごはんを食べる
  4. 歯を磨く

というように、行動の順番を示します。

一度にたくさん伝えず、「まず着替えよう」「次は朝ごはんだよ」と、一つずつ伝えることも効果的です。

小学校中学年以降は選べる部分をつくる

中学年以降になると、保護者から細かく指示されることを嫌がる子も増えます。

そのようなときは、すべてを保護者が決めるのではなく、本人が選べる部分をつくります。

例えば、

「宿題は朝と昼のどちらにする?」
「算数と国語はどちらから始める?」
「ゲームは昼食後と夕方のどちらにする?」

と、二つ程度の選択肢を示します。

子ども自身が決めることで、予定に取り組みやすくなることがあります。

ただし、すべてを子ども任せにするのではなく、起床時間や食事時間など、家庭として大切にしたい部分はあらかじめ決めておきましょう。

予定変更や切り替えが苦手な子への工夫

夏休みは、急なお出かけや天候による予定変更も増えます。

予定が変わると強く怒る、ゲームを終えられない、声をかけても動けないという子には、次のような工夫を取り入れてみましょう。

「あとで」ではなく、できるだけ具体的に伝える

「あとで宿題をしよう」では、いつ始めるのか分かりにくいことがあります。

「お昼ごはんを食べた後に、算数を1ページしよう」と、始めるきっかけを具体的に伝えます。

予定変更は早めに知らせる

予定が変わることが分かったら、できるだけ早く伝えます。

「今日は公園に行く予定だったけれど、雨が降っているから、家で工作をしよう」

というように、変更した理由と新しい予定を一緒に伝えましょう。

楽しい活動の次に、取り組みやすい活動を置く

ゲームの直後に、苦手な宿題をたくさんさせようとすると、切り替えの負担が大きくなります。

ゲームの後はおやつ、片付け、好きな本を読むなど、比較的取り組みやすい活動をはさむ方法もあります。

タイマーや予定表に知らせてもらう

保護者が何度も「終わりだよ」と伝えると、注意されているように感じ、親子げんかになりやすくなります。

タイマーや予定表を使い、

「お母さんが終わりと言ったから」ではなく、「タイマーが鳴ったから終わる」

という仕組みにすると、保護者の声かけを減らせます。

生活リズムを整えるときに避けたい対応

生活リズムを整えようとするあまり、親子ともに苦しくなってしまうことがあります。

次のような対応が続いているときは、方法を少し見直してみましょう。

毎日同じ注意を繰り返す

何度伝えても行動が変わらない場合、注意が足りないのではなく、伝え方や環境が子どもに合っていない可能性があります。

声かけを増やす前に、予定表、タイマー、チェック表などを使い、目で見て分かる方法を試してみましょう。

急にゲームや動画を取り上げる

約束を守れなかったからといって、突然ゲーム機を取り上げると、子どもの気持ちが大きく乱れることがあります。

まずは、終了条件が子どもに理解できていたか、終わる前の予告があったかを確認しましょう。

できなかった日を失敗と考える

旅行やイベントの日、体調が悪い日など、予定どおりに過ごせない日はあります。

「今日は崩れてしまったから、もう駄目」と考える必要はありません。

昼まで予定どおりにできなかったときは、夕方から再開しても構いません。夜更かしをした翌日は、起床時間からもう一度整えればよいのです。

生活リズムは、毎日100点を取るものではありません。

 

8月後半から新学期の生活リズムへ

夏休み後半になると、新学期に向けて生活リズムを戻す必要があります。

ただし、始業式の前日に、急に学校と同じ時間へ戻そうとするのは難しいものです。

夏休みが終わる1~2週間前を目安に、少しずつ調整していきましょう。

起床時間から少しずつ早める

起床時間が学校のある日より1時間以上遅くなっている場合は、一度に戻さず、数日ごとに15~30分ずつ早めます。

起床時間を早めるときは、必要な睡眠時間を確保できるよう、夜の活動を終える時間も少しずつ早めていきます。

学校が始まる日を見えるようにする

カレンダーに始業式の日を書き込み、子どもと一緒に確認します。

「もうすぐ学校だから早くしなさい」ではなく、

「あと7日で学校が始まるね」
「あと3日になったら、学校と同じ時間に起きてみよう」

と、具体的に伝えましょう。

学校の準備を小分けにする

新学期の準備を一日で終わらせようとすると、親子ともに負担が大きくなります。

  • 今日は持ち物を確認する
  • 明日は足りない物を買う
  • 次の日はランドセルに入れる

というように、小分けにして進めましょう。

登校に不安がある子は、学校までの道を歩く、校門の近くまで行くなど、学校生活を思い出す機会をつくる方法もあります。

 

まとめ|生活リズムは完璧に整えなくても大丈夫

夏休みに生活リズムが崩れると、「このままで新学期を迎えられるのだろうか」と心配になるかもしれません。

しかし、すべてを一度に直そうとする必要はありません。

まずは、

  • 起きる時間を大きくずらさない
  • 朝にカーテンを開ける
  • 午前中に一つだけ予定をつくる
  • 一日の流れを見えるようにする
  • ゲームは始める前に終わり方を決める
  • 寝る前の行動を同じ順番にする
  • できた行動を具体的に認める

という方法の中から、家庭で取り組めそうなものを一つ選んでみましょう。

目指すのは、学校がある日とまったく同じ生活ではありません。

子どもが次の行動を理解しやすく、保護者が何度も注意しなくてもよい、家族に合った生活リズムをつくることが大切です。

予定どおりにできない日があっても大丈夫です。

その日の夕方から、あるいは次の日の朝から、何度でも始め直すことができます。