自閉症児に有効?PECSについて徹底解説

こんにちは♪
ことばの教室そらまめキッズです。

皆さんは『PECS®』というものをご存知でしょうか?

・PECS®は聞いたことあるけどよくわからない
・PECS®ってどんな子が使うの?

そこで今回はコミュニケーションの手助け『PECS®』についてご紹介していきます!
ぜひ、お役立てください(*^-^*)

 

PECS®とは

「PECS®」とは「Picture Exchange Communication System」の略で、日本語では『絵カード交換式コミュニケーションシステム』を意味します。
主に、自閉症スペクトラム障害を持つ方など、様々なコミュニケーションの困難を抱える人の機能的なコミュニケーションスキルを助けるために作られた代替/補助コミュニケーションシステムです。
主に写真や絵カード、シンボルを使用してコミュニケーションを行っていきます。

PECS®はどんな人が使うの?

年齢制限はありません。
そらまめキッズでPECS®を始めたお子さんのきっかけをいくつかピックアップしてみました☆

・発話がなく自分の思いが伝えられない
・発話はあるけど相手に伝わらない・自発的なコミュニケーションがない
・年齢にあった語彙や文法がなかなか…

など理由は様々

PECS®が必要なのか分からない…という方は参考までに、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)が出しているチェックリストもご覧ください。
https://pecs-japan.com/download/Level%201%20PECS%20Flow%20Chart%20in%20Japanese%202018.pdf

 

PECS®を使うと話し言葉がなくなる?

ここで覚えていてほしいのは、
PECS®を使ったからといって発話がなくなるわけではない!ということです。

絵カードや写真を使用したやりとりでは、
「発語がなくなるのではないか」「発語が遅れるのではないか」と心配の声をよくいただきます。

PECS®を通した発話についての研究では、PECS®を通して発話がなくなった・遅れたという事例はなく、
約7~8割がPECS®を通して発話ができるようになったという結果がみられました。

 

PECS®はあくまで『代替的・補助的コミュニケーション』です。PECS®は発話を抑制するのではなく、発話を促していきます。

 

PECS®の指導段階

PECS®は6段階で構成されています。

フェーズ1:物理的な交換

・目標:コミュニケーションのやりとりを自発する(取り方を教える)

フェーズ2:距離と持続性

・目標:様々な場所・人へと移動して使うことでやりとりを般化させる

フェーズ3:絵の弁別

・目標:ブック上・内にある全ての絵カードの中から正しい絵カードを選択する
(対象が好みのものとそうでないものを弁別することから練習していく)

フェーズ4:文の構造
・目標:「ください」カードを使って要求する

フェーズ5:応答による要求

・目標:「何がほしいですか?」という質問に対し、応答できるようになる

フェーズ6:コメント

・目標:様々な環境の中で自発的にコメントできる(~みえます~きこえますなど)

 

これらの段階に加え、その他の重要なコミュニケーションスキルの学習も行っていきます。

 

PECS®とABAの関係性

PECS®は、主に絵カードやシンボルを使ったコミュニケーション手段を提供することを目的とし、自発的なコミュニケーションのスキルを強化することを目的としています。

 

ABAは、行動の原因と結果を基にした科学的なアプローチで、社会的に望ましい行動を増加させること、および望ましくない行動を減少させることを目的としています。
行動の原因と結果を分析し、強化(褒める)、モデリング(模倣)、プロンプト(手助け)、シェーピング(行動を形づくる)など、さまざまな行動技法を使用します。

ABAについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

「ABA(応用行動分析)とは?内容や実施方法、効果などを解説します」
https://www.soramame-sky.com/column/abatoha/

 

このような特徴がありますが、基本的にPECS®はABAのプログラムの中で組み込まれて使用されているということです。PECS®を使用していくためにはABAの理解は重要となってきます。

 

自閉症児にPECS®は有効?

自閉症のお子さんを連れて、療育に通い始めると「話ができないからPECS®をすすめられた。」という経験がある方は少なくないと思います。

自閉症のお子さんは個人差ありますが、言語の遅れや非言語性、文の構造や相互性の理解の難しさがあります。一方で、自閉症のお子さんは視覚的な情報の処理が得意です。PECS®ではこの強みを活かして、写真やシンボルを用いた自発的・相互的なコミュニケーションを学習していくためにとても有効です。

 

実際にそらまめキッズを利用している自閉症のお子さんがPECS®を使い始めてからどう変化したか簡単にまとめてみました☆

 

PECS®を使う前

・発話や身振りも少なく、自分の思いを上手く伝えられず癇癪ばかり起こしていた
・他者への興味関心が薄く、アイコンタクトや自発的なコミュニケーションも少なかった
・周囲の人と上手く関わりが持てなかった

 

PECS®を使った後

・自分の思いが伝えられるようになって癇癪が減った
・アイコンタクトや表情のバリエーションが増えた
・他者への興味関心が増え、自発的なコミュニケーションが増えた
・発語もみられるようになり、言葉や身振りが増えたことでたくさんお話してくれるようになった

 

このような変化がみられました。
また、PECS®を通して「笑顔が増えた!」という大きな変化も。このことから、少なくとも自閉症のお子さんにPECS®は有効といえます。

 

自閉症だけじゃない!PECS®の使い道は様々

PECS®は自閉症のお子さんのみではなく、様々な人に様々な形で使用されています。
場面緘黙症の方にも代替的なコミュニケーションとしてPECS®は有効です。先ほども述べましたがPECS®には年齢制限がありません。
ですので、子どもから大人まで必要な人に必要なタイミングでPECS®は使用されているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

・PECS®は機能的な代替/補助コミュニケーションである
・PECS®は発話を抑制するのではなく、発話を促すものである
・年齢制限はない!様々な場面で様々な形で使用される

ということを知っていただけましたでしょうか?

 

PECS®についてもっと詳しく知りたい方は、下記URL、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパンのホームページをご参照ください。
また、PECS®レベル1などのワークショップの受講がおススメです。

https://pecs-japan.com/

 

この記事を読んで『PECS®について興味を持った』『使ってみたい!』と思った方は是非、PECS®を積極的に取り入れてみてくださいね(*^^)